豊かな時間が売りのオーベルジュの破綻と超富裕層

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高級リゾートホテルとして知られる二期倶楽部那須)が突然に閉鎖されたときの記事が、日経ビジネスに出ていました。昨年8月に閉鎖していて、いまは星野リゾートがオーナーなんですね。

私も、10年以上前、30代前半の頃まで何度も利用したことを思い出します。ほんとに那須の自然以外は何もない場所です。ひとの10倍働いていた自分には、それがぴったりだと思っていました。記事には「皇族も利用するホテル」と紹介がありましたが、それはご静養地の那須ですからそんなこともあるとして、夫婦ではメディアに出ない有名な芸能人家族とご一緒したことなどもありました。

経営はずっと赤字だったといわれます。上場企業の傘下にあり、有利な資金調達も集客もできた二期倶楽部でさえ利益を出せなかったのですから、同じころに私が訪れたほかのオーベルジュ(人里離れた場所にあるレストランと宿泊の一体型施設)がいまではひとつも残っていないのは、当然なのでしょう。

「豊かなサービス」を支える現場が、合理的な経営を拒否した、若者のやりがい搾取や精神論に頼っていたわけですから、破綻しないほうがおかしいのです。

さて、私は(妻も)今でこそ「ホテルはAPAで十分」な省エネ人間(省エネ妻)ですが、ともかく当時はそのような場所に何泊もすることが、言葉を選ばなければ「自慢」でした。それが豊かさの象徴だとなんとなく思っていたのがひっくり返されたきっかけは、ある超富裕層の行動でした。

イスラエルのある「富豪であり英雄」が日本にきたときのことです。自家用ジェット機をもっているどころか、飛行機会社のオーナーでもあります。私の所属するチームが京都の一流老舗旅館を抑えていたら、京都の駅近だけが売りの、私たちが経費でも泊まらないような安ホテルに夫婦で予約いれて「こっちがいい」でした。そして、満足そうに国に帰りました。

豊かさの再定義ですね。いまでは、平日の昼間に高級ランチを食べ、朝からゴルフして、たまにオーベルジュに何泊かする「だれかが定義した豊かな老後イメージ」も、虚しく感じるようになりました。作られた豊かさ、人目を気にした豊かさは、どちらも幻想なのでしょう。