「家族の幸せのため」に家を買う

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「家を買う」も転職や起業と似ています。人生、「お金」があればどうにでもなります。少なくとも、多くのことはお金で解決できます。そして「家を買う」は「お買い物」ではなく「レバレッジ10倍や20倍の超ハイリスクなガチ投資」です。十分なお金がないのにお金をこの「ガチ投資」にめいっぱい振ってしまうと、人生の楽しみ、人生の選択肢は限られたものになります。金額は「できるだけ抑える」、そして資産価値重視が基本のはずです。

「は? 投資家でもないのに満足度より資産価値を重視ですか?」。投資の経験がなく、事業計画も経営能力も実績も不問で「銀行から返済が35年にもわたる融資を受けたガチ投資」をするのですから、満足度重視の物件選びなど論外でしょう。きれいごと抜きで「資産価値を第一」にすべきです。満足度や心のなんとかみたいな「ふわっ」とした何かは、あとからついてくるものです。逆に言うと、購入前の「この物件の満足度は高い!」は本人の思い込みにすぎません。

もちろん、住民層や細かな仕様など「ネットだけで盛り上がる」小さなことを気にしても仕方ありません。パワーカップルを含むサラリーマン層が買うことのできるレンジの新築マンションは、マウンティング好きなひとが目指す「上の方の世界」からみたら「どれも同じ」です。そのなかで、何階に住んでいる、レインボーブリッジの眺望がどうこう、中古の価格上昇が云々などと争うのは不毛でしょう。

不動産という資産への「ガチ投資」では「資産価値を第一」に考える必要があります。これを考えていなければ投資すべきではないですし、妻あるいは夫はためらうことなく「ブロック」すべきだと思います。資料請求して「招待」されたモデルルームで美人受付嬢や案内嬢、営業に乗せられて「自分には、湾岸タワマンの上層階を買って、満足度の高いラグジュアリーな暮らしを送る価値がある」と舞い上がった単純な男や女の目を覚ませるのは、妻あるいは夫しかいないのです。

「家を買う」のきっかけや目的はいろいろありますが、「家族の幸せのため」だとうまくいくと思います。それが、ほんとは自分の見栄だったり欲求を満たすものではうまくいきませんし、自分以外のみんなの幸せのために自分が我慢したり犠牲になるのもダメでしょう。「ウソ」や「ムリ」はのちの不幸の素になるだけです。

駅に置いてある無料のマンション情報誌やネットで都内マンション情報を探しだすと、「いくらでもわいてくる似たような境遇のひとの購入談」に自身を重ねて「自分は新築マンションを買うべき人間だ」と思い込んでしまいがちですが、私の感覚では9割くらいは「買わないほうがよい」ひとたちでしょう。わが家は、私が3回、妻も1回買っているのにひどい感覚だと思いますが、できるだけ「新築マンション購入なんてすべきではない」と思っています。

「買ってよかった」で語られることの9割は「分譲賃貸や高級賃貸のような、高仕様の賃貸を借りても同じ」感想になるものです。広くなった、上の階の音がしない、〇〇が近い、コンシェルジュが……。「差がない」ことにいずれ気づき、気づいたころには「古くなっても毎月同じ金額を返済して、いや、修繕積立金は5年ごとにどんどんあがるから支払額は建物が古くなるほどあがっていくのか。うーん」となっているのです。

賃貸住まいよりも新築でも分譲を買ったほうが「月々の支払額はぐっと安くできる」のも、もちろん錯覚です。ざっくり計算では「住宅ローンの毎月返済額の2倍」が賃貸の家賃と同じになります。住宅を買うと、ローン返済以外にも初期の高額な諸費用や税金、毎月の管理費と修繕積立金、毎年の固都税や保険、定期的な設備更新やリフォーム、そして出口としての売却時の仲介手数料に想像以上のお金がかかります。複雑な減免措置を適用できたとしても、住宅ローンの返済が毎月20万円であれば、同じ支出でその2倍、つまり家賃40万円の賃貸に住めるということです。

結婚したばかり、子どもが生まれたばかりで全能感に満ちたときのマンション探しもリスクが多いです。「家族のため」とはいえ、わずか2年や3年のために実家の近くや母親の勤め先の近くで選ぶのは「資産価値」を無視しています。また「通勤時間などでだれかが我慢する」のもNGでしょう。なんでも揃う大きなショッピングセンター、川沿いの広場や公園なども、そのマンションの立地を考えたら真っ先に「近くあればいいな」から外すべきです。これらを重視したいのなら、賃貸一択でしょう。

子育てをどう考えるかに正解はありませんが、長い目でみればどこに暮らすかという「地域」は大切です。「子育て世帯がたくさん集まっていてなんでもあり」な地域もあれば、「品の良い高齢者も多い大人社会に子どもはとけ込めていて、だれもが行儀がよく、他人がいる場での行動もわきまえている」地域もあります。後者のような地域の新築マンションは、1億円、2億円が当たり前の世界になりますが、物件価格に占める土地の割合がそもそも高いためであり「資産性は高い」と言えます。

子どもが成人したとき、さらにその先まで想像し、考えぬいたうえで「なんでも揃う大きなショッピングセンター」「川沿いの広場や公園」を選ぶべきか。「留学したい」と言われたとき、レインボーブリッジが見えるだけで高額な住宅ローン支払いや自宅の残債割れを理由にその希望をつぶしてしまうのか。「資産性の高い」立地に「支払総額を賃貸よりも明らかに抑えられる」中古マンションを買うことにも、家族のためになり、子育てのプラスになる要素が多くあると思います。

「資産価値偏重」「新築否定」に対する疑問や批判は多いです。しかし、経験の長い不動産屋が自分用に買う物件は「都心駅近旧耐震」が基本と言われており、外国人投資家も同じく「都心駅近旧耐震」です。「満足度重視」「まずは、新築。」なのは日本のサラリーマンの特徴ですが、いま、そしてこれからの流れを想定すると「都心駅近旧耐震」に目を向けるのもよいと思っています。

背伸びせずに落ち着いた地域に家を持ち、そして、家族の将来の幸せのためにお金を残した暮らしをするのに必要なあれこれは、「パワーカップルとして新築買って、同世代の住民と子育て競争するのに必要なパワーとお金」と比べたら、微々たるものであると知ってほしいと思っています。