サラリーマンは不動産投資をすべきかという話

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サラリーマンにとって一般的な「都心コンパクトマンション 2000万円を2部屋」の不動産投資は、「あわせて4000万円の資産を頭金10%の表利5%で25年間運用して、売却価格は3700万円だったとして、頭金と同額の400万円を投資した先進国株式インデックスをアウトパフォームできない*1。なお、その間、不動産屋は600万円儲け、国などは500万円の税収を得ている」です。

シンプルにすると、借金つっこんで買った物件を超好調に運用できたとして、25年後に高値で売れたとしても、それは「400万円を元手にリスクとって投資したのに、不動産屋と国税に1100万円ものお金を払うためだけのタダ働きだった」なのです。

もちろん、25年の間に家賃が少しでも下がったり、空室期間が想定より長引いたり、募集コストが上がったりすれば利益に直接の影響があります。そもそも25年後の売却価格が買値の92.5%という想定も甘すぎでしょう。

「えっと、家賃とか空室率ってのはバリューアップってのをすればいいんでしょ? 本に書いてあるよ。あと、銀行との交渉力をもったりでコストを抑えるのがコツってセミナーで聞いたよ? エリサー(エリートサラリーマン)ならレバレッジとか節税とかの効果も大切だしねー」。まあ、そうなんですが、まずは「それ、サラリーマンが片手間にやることなの?」を考える必要があります。

不動産投資の市場、特に都心やその周辺の賃貸市場はサラリーマンだけのものではありません。財閥系不動産会社から個人でも専業といわれるプロ、サラリーマン大家、そして「地主」までが跳梁跋扈する市場です。

「地主」の賃貸ビジネスモデルはシンプルです。「土地を担保に建物の融資を受け、地元の不動産屋にタダで管理させることで、市場平均よりも高い利益を得る」です。

地主は土地を持っているので融資は建物部分だけです。「業者の取り分も大きい都心のワンルームを買う」と比べると、そのわずかな比率分のお金を借りるだけで済みます。銀行もサラリーマン大家に「事業計画も経営能力も実績も不問」でお金を貸すのに対し、土地という担保があり、さらに何十年もその地で賃貸経営を続けた実績があり、そのうえたまにはよく分からない仕組みの新興国外貨建ての投信を買ってくれる太客には、あってないような金利を提示します。

サラリーマン大家が「土地と建物と業者利益の合計額に、高い金利で融資を受ける」のに対し、地主は「建物部分だけ、しかもずぶずぶな超低金利で資金を調達」できているのです。

サラリーマン大家からは「賃料5%の管理費」をとる不動産屋も、先代からのつきあいがある地主の物件は「タダ」で引き受けます。AD(募集の際に大家から不動産屋に支払われるバックマージン)がなくても優先的に客付けをします。こちらから頼まずとも優良な法人契約さえもとってきてくれます。相続案件などで、そんな約束をしてしまっているのです。相続で手放す一部の土地を両手で仲介するだけで8桁の収入を得ていますし、今後の相続案件を狙うのであれば当然のことなのです。

ほかにも書ききれないほど多くの要素があって、都心やその周辺の賃貸市場は「地主が圧倒的に有利」なのです*2。そして、さらにその地主でさえも「儲からないなぁ。とっとと撤退したいなぁ」とつぶやく市場なのです。

何十年も変わっていない、そもそもの収益性が不透明であるうえに自分にとって圧倒的に不利な土俵での勝負……どのようなロジックでそんな不動産投資を正当化するのか、私には理解できていません。そして、理解できないものには手を出さないようにしています。

しかし、サラリーマンに収益物件を紹介する会社、つまり「収益不動産を買うひとから収益を得る」会社が成長を続けていることは事実ですし、理解できます。理解できますので、私はシノケングループとスター・マイカの株主になっています。どちらも(25年どころか)5年間で株価は4倍になり、高い配当と、優待である「温泉のもと」を毎年受け取っています。仮に400万円を2銘柄に分散投資していれば、5年間で1300万円のプラスです。

*1:先進国株式インデックスは過去実績から複利で年利5%を想定します。

*2:そもそも都心ワンルームなどの収益物件も地主→業者→サラリーマンの順に流れてきます。地主が買わない物件を業者が吟味し、業者もスルーした物件がサラリーマンに押し付けられている……といった構図ですよね。