「シングル女性のマンション購入」を考えてみる その2

f:id:tak_jp:20180618104547j:plain

つづいて、地震対策です。立地もいいですが、本当はまずは人間の欲求の基本である「安心と安全」ですね。

ググったりすると、すぐに「地震対策には免震構造というのがいいのね」というのがわかります。特に、比較的高収入である医療や製薬系、外資IT系に属する女性は、身近な「商材」である病院や研究施設、データセンターの構造として免震構造が積極的に採用されていますから、すっと納得できるでしょう。

そう、たしかに免震はすぐれた考え方なのですが、それにもかかわらず新築で免震構造が採用される件数は激減しています。東日本大震災直後にもてはやされて「必須条件」のように宣伝されていたのが懐かしいくらいです。世の中にはそれほど求められていない、「あるにこしたことはないけど、お金をはらってまでは欲しくない」条件だったという理解もできそうです。

日刊建設工業新聞 » 免震建物、3年連続で減少/防災意識の低下・労務費上昇が影響/免震構造協会

ふたたび免震構造がもてはやされる「波」がくるかもしれません。ただ、それはいかにも気分的なものです。賃貸出しで「免震構造を理由に高く貸せる」のも、超一等地に建つ、200平米超えなどの外国人経営者向け住宅くらいです。シングル女性が検討するボリュームゾーン(1LDK、50平米以下の面積など)では、出口戦略の観点で免震構造に付加価値なし」と考えた方がよいです*1

また、一概にはいえないものの、免震構造が採用されるのは軟弱な「揺れやすい」地盤であることが多いです。逆に、昔からひとが住んでいた場所、いわゆる特権階級に属するひとたちが住んでいた場所などは、強固な「揺れない」地盤であることが多いです。「揺れない」地盤ほど免震構造が採用されていないことは、知識としてあってもよいでしょう。

「揺れる」地盤に打ち込んだ杭基礎の上にのっけた免震装置(免震層)で「揺れなくした」建物と、「揺れない」地盤の上にしっかりと立地する「もともと揺れない」建物。同じ「揺れない」建物でも、どちらに価値を見出すべきかは明らかなのです。

「揺れる」地盤なのか、「揺れない」地盤なのかは、アプリで簡単に調べることができます。どこまで精度が高いのか、どこまで信頼してよいのかは議論あると思いますが、私が確認したところでは「使える」と判断しています。

jibannet.co.jp

そして、地震といえばよくある「旧耐震は買ってはいけない」についてです。

買って住む建物が新耐震基準なのか、旧耐震基準なのか。生命、財産に直接かかわることなので「不動産屋」が安易なことを言ってはいけない分野です。新耐震でも軟弱地盤に基準ぎりぎりでつくっている建物もあれば、旧耐震でも強固な地盤に当時の最高の技術を惜しみなく投入してつくっている建物もあるわけで、これまた「一概には言えない」で逃げることになりそうです。

1階部分の構造や柱の太さや構造壁の厚さ、施工会社をみることなどで旧耐震でもOKと判断できたりするようですが……そもそも「地震被害による資産劣化を恐れるなら、賃貸一択!」ですね。新築や中古かにかかわらず、新耐震か旧耐震かにかかわらずです。

さらに「地震被害による生命の危機を避けたいのなら、日本から出ること一択!」です。

「旧耐震」を資産性で考えると、「居住用」であれば住宅ローンOKで、「投資用」であれば銀行融資NGであることは抑えておくのがよいです。たとえば「実需として買って住んでいたけど結婚したからだれかに貸して、居住中にオーナーチェンジの投資用物件として売る」という出口がふさがれます。

また、特定緊急輸送道路沿いに建つ旧耐震マンション耐震診断が義務付けられています。そして、その診断では「○階と○階あたりが……」とたいていNGを出され、補強案の検討がされた段階で放置されています。「よし、わかった!」と身銭きって耐震補強工事をするわけはなく「診断でNGだった」という記録だけが残っています。

http://www.taishin.metro.tokyo.jp/yuso/

耐震診断は、診断が義務付けられた建物以外で実施されていることは稀であるため、「診断でNG、かつ放置」物件は目立ってしまいます。やはり価格は安く、シミュレーションでも間違いなくお買い得物件になるのですが……ここで実需のために合理的判断だけで買えるひとはなかなかいないものです。

やっかいなのは、不動産に直接的にかかわるひとの体験談などを読むと「旧耐震買ったよ」が目立つことです。ポジショントークの類とはいえ、リフォーム事業に携わるシングル女性の方の体験談などいくらでも出てきますし、おそらく統計としても多いです。そして、私や妻も、もちろん、買っているひとたちなのです。

*1:免震構造の的確な説明には、高いスキルも必要です。賃貸や中古マンションを仲介する営業にそれを求めるのは現実的ではないでしょう。新築マンションではモデルルームに免震装置の動作モックを必ず設置し、そのうえで建設会社の構造設計担当を招聘した説明会を開催します。そうでもしないと免震構造のメリットが伝わることはないと、売る側が理解しているのでしょう。