「シングル女性のマンション購入」を考えてみる その1

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ここ15年くらいの不動産業界、特に東京の都心部で成長を続けているのが「シングル女性をターゲットにしたマンションの分譲」です。これを「買う側の目線」で考えたメモです。

私は、そもそも女さんではなく、結婚もしていて、さらに「いやー、絶対にここ欲しい!って思った物件だけ買えばよくて、そうでなければいまの賃貸に住み続けた方がいいですよー」という不動産屋にあるまじき態度なので、どこまで使えるメモなのかわかりませんが、まあ*1

まずは、エリア。「親の近く」や「子どもの学区」などの雑音をすべて排除できますから、自由に選べます。真っ先に「それじゃ、勤め先へのアクセスが便利なこと!」が挙がることが多いわけですが、これで多くの選択肢を消し去ってしまうことになります。あまり絞らない方がよさそうです。

自由すぎることに慣れておらず、漠然とした不安から一気に絞りこみたくなるわけですが、ここは耐えます*2

転職して利用駅が変わることもあるでしょうし、転職せずとも勤め先がオフィスを移転したり、大きな会社ではちょっとした部署異動で利用駅が変わることもありそうです。在宅勤務は増えないと思っていますが、うっかり導入してしまう会社もあるかもしれないご時世です。

「乗り換えを嫌う」方は多いのですが、1回はもちろん、2回でも苦にならないものです。「片道30分以内」などのキツい条件も、2時間かけて毎日通うひとも案外と多いですし、もう少し時間かかってもよしとしたいところです。

「会社の近くにマンション買ったから、いまは自転車通勤かな」「M駅が最寄りで、ドアツードアで20分かからないくらい」だと、たしかに仕事できる感は満ちてきます。それでも「会社へのアクセスを優先」するのであれば、会社がマンション買ってくれるとかでなければ、賃貸を選ぶのが100%正しいです。

不動産を買うのですから、変化に対応できること、出口戦略を考えられることが第一です。となると、結論は「どこからでも便利な場所」、つまりは「歴史ある人気駅」の駅近マンションを選ぶべきとなります。

「えっと、そんなこと常識だけど」。ですよね。ただ、この場合の人気駅は「なんとかランキングで上位」ではないです。「貝塚があった」「土掘ったら弥生式土器が出てきた」レベルで昔からひとが好んで住んでいた歴史ある場所と理解するのがよさそうです。

歴史ある人気駅では、マンションも1960年代から積極的に建てられています。再開発などによる例外はありますが、全体的には駅から近く、また高台側など地位(じぐらい)のよい物件ほど古くなるわけです。そして、このような立地では鹿島や清水建設といったゼネコンに「英国のデザイナー+三菱地所設計」といった組み合わせなど、全力を尽くした建物が並んでいるんです。

「歴史ある人気駅かあ……」。思いつかなければ、具体的には青山、目黒、神楽坂、高輪台麻布十番など、あるいはその文化圏的エリアの駅から選べばよさそうです。

「会社へのアクセス時間」での物件選びは、100%合理的な選び方です。それゆえに、通う先が変わるだけで非合理的な選択になってしまいます。

せっかくの「自由」を、のっけから会社基準で自らデジタルに捨ててしまうのはもったいないです。「通勤時間とか乗り換え回数とか、関係ないでしょ!」です。親や子どもはもちろん、仕事や会社の動向などだれにも邪魔されることもなく、「自分がずっと暮らしたい場所」を非合理的だろうがなんだろうが選ぶことができるのが、人間らしい「自由」なんですよね。(つづく)

*1:妻は30代後半で「自分ひとりで生きていく!」と決めて、その時の勤め先に歩いて通える1LDKのマンションを買ったひとりです。

*2:あえて書くと、かつて、60年ほど前のこの国で会社のすぐ近くの寮に強制的に住まわされた「金の卵(きんたま)」を思い出してもいいと思います。住まいを自由に選ぶ権利をもつのに精神的には会社の支配下にあるのは「奴隷の鎖自慢」と本質的に同じです。