東洋医学と坂本龍一の「死ぬ前にカツカレー食べたい」

f:id:tak_jp:20180603092730j:plain

人間、ガンを告知されたら何を思い、どのような行動をとるのか。妻の父親が「末期ガン告知をきっかけに、突拍子もない行動をとる可能性があるか?」を考えていました。

坂本龍一の、数か月くらい前のインタビューを妻がおぼえていました。「坂本龍一はガン告知のあとで、死ぬ前にカツカレー食べたいとか言ってたんじゃなかったっけ。作曲は、音楽が世界変えるとか幻想だし、単なるお金稼ぎだからやらないとか言って」。

改めて坂本氏のインタビューを読むと「カツカレーの写真を送ってもらって待ち受け画面にした」という話と、「死を意識したときに音楽のことはまったく考えなかった」という話だったので、妻の記憶とだいたい同じでした。

家族がガンを告知され、「カツカレー食べたい」くらいでいてくれれば助かります。自分もそのくらい気楽に最後までいたいものです。ですが、まあ、そんなに甘くはないでしょうね。末期ガンかどうかでも大きく変わりますし。「死の受容プロセス」のような、ガン告知後の行動をある程度科学的にまとめたものをなぞるのが精一杯なひとがほとんどだと思います。

さて、坂本氏は東洋医学、東洋思想に傾倒していました。20年にわたり一切の西洋医学を拒否し、食や健康へのこだわりも半端なくやってきたと。自負もあると。それでもガンになったことはショックで、西洋医学を受け入れるようになったといいます*1。この辺は、何十年も玄米食を続け、食卓に並べるものは家庭菜園でつくってきた妻の実家と同じです。

sayonarafamitsu.blog.fc2.com

スティーブ・ジョブズ坂本龍一。他にも多くの、世界的にも影響力の大きなひとたちが東洋医学、東洋思想を支持します。そして、それらを高いレベル、長いあいだ実践してきた彼らが、若くしてガンに苦しんだことも事実です。東洋医学は否定するものではありませんが、どこのだれだか分からないひとの奇跡に引き寄せられる前に、この事実を思い出すべきでしょう。

自分が末期ガンの告知を受けたらどんな行動をとるか。私は「そんなの、いま考えても意味がなくない?」という妻と同意見です。毎日笑って過ごし、やりたいことをなんでもやっていければいいでしょうと。そして「最後に食べたいもの」が思い浮かぶくらいが、ちょいどいいんじゃないかと思っています。

*1:インタビューによって違いますが、相変わらず酵素云々の飲み物や完全菜食主義を推す一方で、「いやー、ガンになってからは酒は飲むし、寿司も食べてるよ。わはは」みたいなことも語っています。前者の態度はビジネス的な要請でとっているもののようです。