中古マンションの流通量が正しくない理由

「2016年、首都圏では中古マンションの売買成約数が新築マンションを上回りました」。住宅情報を扱う記事などでは、ほぼすべてがこの「2016年」を上回った年としていますが、業界関係者は違う見解をもっています。もっと早い段階、遅くとも2013年には上回っていたと考えています。

中古マンションの売買件数は、不動産情報を不動産会社間で交換するシステム「レインズ」の情報がもとになっています。レインズは、売り出しの物件が出たら宅建業者(不動産会社)がその詳細情報を速やかに登録します。売買が成約したら、売主側の宅建業者が成約日や金額などを登録してクローズする運用をしています。これらは法的な義務なので、例外はありますが、正しい情報が得られそうです。

しかし、この例外がくせ者になります。

まず、売り出し中でも登録をしないでも許される場合があります。どこか一店に自宅の売却を依頼するのではなく、複数のお店に依頼するような一般媒介といわれる場合です。手数料収入のくいっぱぐれの可能性がある一般媒介を露骨にいやがる不動産会社が多いため、数としては少ないです。また、一般媒介でもレインズにちゃんと登録する業者も多いです。それでも、無視できない数です。

さらに「成約をしたら登録」をおこなわない取引が多いです。具体例として(事業者ではなく個人としての)私の場合は、過去の中古物件売買で成約が登録されていたのは1件だけです。過去10年における10件の売買のうち新築での購入が3件、中古は売却と購入をあわせて7件です。つまり、7件のうちレインズに成約が登録されたのは1件だけです。

そのうえ、私の購入した3件の中古マンションは業者によるリノベ済中古マンションですから、業者がもとの所有者から必ず買い取っているわけですが、これらも登録されていません。これらの履歴もあわせると、10件のうちレインズに成約が登録されたのは1件だけになります。

成約についてもレインズに登録しない方法はある、ということです。あちこちに書かれていますが、専任や専属で受けた売却依頼も、契約成立のひとつ前の処理として「売主からの依頼を受けた形」で一般媒介に切り替えればよいだけの話です。一般媒介であればレインズへの登録義務がなくなりますので、成約についての情報も登録されません。

ここまで低い登録率だと、中古マンションの流通量が増えたのか、中古マンションのレインズへの登録数が増えたのか、もはやだれにもわからないというのが現実でしょう。買取再販型はたしかに登録されにくい形態ではあるのですが、それでも数字に残らない取引がたくさんあることに変わりはないです。