レインズを使ってみての雑感

不動産の流通情報を扱うレインズを使ってみてまだ1週間もたっていませんが、雑感などを書いてみます。

期待と大きくはずれていたのは、これはビッグデータでも扱いやすい構造化データでもないことです。

原則としてこのレインズというシステムのなかだけで入力し、検索し、表示することを目的としています。外部システムとの連携は完全に拒否するつくりで、何らかの形で連携させることも一切認めていません。今どきなAPI連携の思想はなく、きわめてクローズドなシステムです。

一括ダウンロードの制約も厳しく、csvでは1回あたり500件、一日あたり1500件です。属性や地域、期間をしぼったとしても、業務に使えるレベルの情報を集めるには、それだけで何週間もかかり現実的ではありません。

対応するプラットフォームは、WindowsIEのみ。あとは、どう使うのかわかりませんがFAXがあります。それ以外のブラウザ、スマホへの対応はありません。

クローズドにするならするで専用のアプリなりなんなりを提供するのが筋なわけですが、制約が課された経緯などをみるといろいろあったようです。当初はオープンなプラットフォームを目指していたのが、身勝手な使い方をする者を排除したいがために制約を足していったと、まあ、役人的発想からの対処がなされてきたようです。

登録されているデータはクレンジングされておらず、企業内のデータベースを扱ってきた者からみたらひどい無法地帯といってよいでしょう(企業内のデータベースが無法地帯ではない、とは言ってない)。

すべての項目についてマスターデータをもっていないようなので、トランザクションデータが何種類か存在してたまにマッチングさせている、くらいの使い方です。よって、同じマンションでも多いときは5通りの異なる名前で登録され、本気で名寄せをしないと使い物になりません。最寄り駅や戸数の情報も、同じ物件で異なる情報がいくらでも存在します。

何が正なのかわからないわけですが、「正しいデータ」には業界ではだれも興味がないのかもしれません。

もちろん、レインズに登録される物件そのものが少ないという問題もあります。すべての成約データが登録されているわけではない、というと「少しもれがあるくらい?」と感じてしまいますが、感覚では30%くらいは登録されていないでしょう。

業者が売主であれば義務もないため登録しないのはもちろん、専任媒介などで受けた仲介でも、直前に一般媒介に切り替えて登録しないことがあります。私の経験でも、大手不動産屋では契約成立前に一般媒介に切り替えて、レインズへの登録はしていませんでした。

「告知義務あり」といった心理的瑕疵物件がレインズに登録されたら、ずっと検索できてしまうわけで、それを回避したいこともあるでしょう。それでも「登録されなさすぎ」問題は大きいと思います。

というわけで、レインズは分析のためのデータ蓄積は目的としておらず、業者間の「売り出し中」物件情報共有のためのシステムだと認識するのがよさそうです。

サービス開始当初はデータがわずかなので分析という概念もなかったのでしょうが、10年を経てこれだけ膨大なデータが蓄積されているのに活用できない状態というのは、本当にもったいないです。