不動産テックな会社で働くという選択はありなのか

不動産業に携わるには、自ら開業するのではなく、どこかの会社に属する方が手っ取り早いでしょう。開業のハードルが大きく下がったいまでも、事業主として開業の道を選ぶか、どこかの会社の従業員となるかは大きな決断です。

不動産業界の会社も、いまでは本当に多岐にわたっています。細分化がすすみ、一方でこれまでになかった業態も次々と出てきています。連絡はメールではなくてファクスがあたりまえの、旧態依然といった言われ方の多い不動産業界ですが、変わってきています。

Wantedlyや新興系の転職サイトを使って、昨年の一時期に情報収集しました。

不動産テックと称される、データ分析を事業の核とする会社が目立つわけですが、そのデータそのものはSUUMOなど大手のポータルやレインズの情報を、相手が本来は想定していなかったであろう「グレーな手法」で集めることで蓄積し、商売につなげている会社がほとんどです。まあ、そうでもしないとデータベースに乏しいこの業界、有益なデータを手に入れることができないわけですから仕方ありません。

ただ、いくつかひっかかる点はありました。ほとんどの会社が、自身の賃貸の経験からか、売買はおまけ程度の扱いになっています。「日本の不動産をもっとスマートにできる」と発想し起業したとき、その原動力は売買仲介ではなく、賃貸での面倒な経験だったのでしょう。

そして、事業の核になるデータも、まっとうな方法で集めているかどうか明確ではありません。大手のプラットフォームに完全に依存しているように見えること、そのプラットフォーマーが彼らのデータ収集にNGを出し、対策をとったら事業の存続が断たれかねないことが課題です。その課題を知らないわけではなく、とてもよく認識しつつも突き進んでいるのが怖いです。

さらに、大手ポータルは、新興系が手がけているようなデータ分析をできる能力を、とっくに備えています。データの供給源ですし、資金も人材も彼ら以上に投入できるのですから、当たり前です。いや、新興系でも優れた技術力やビジネスモデルがあればいけるだろうと考えてみても、期待はずれに終わります。自社ウェブでは「不動産テックのリーディング云々」を標榜し、経歴を盛っていそうなセルフブランディングに全力な代表と、彼を取り巻く美女たちの写真を載せ、一方で求人ではエンジニアリングの統括からインターンレベルのワーカーを含むすべての職を募集しているのをみると、暗澹たる思いになります。

あれこれみて、新興系はど真ん中よりも、周辺のもっと面白いところにフォーカスしてほしいと思いましたし、賃貸はいま以上シンプルにする余地はほとんどありませんから、面倒な売買にも興味を持ってほしいと思いました。そして、やっぱり開業だなと心を決めるのでした。