20代、30代での起業と40代での起業の違い

不動産屋で起業するには、もちろん会社を辞めることになります。会社を辞めるには、自ら退職届を出す自己都合退職と、退職を迫られる会社都合退職があります。「〇〇年勤めた会社を退職して起業」といった場合、どっちの退職なのか分からないわけですが、30代くらいまでなら自己都合、40代からはほとんどが会社都合での退職なんじゃないかと思います。

44歳の私も、会社都合退職です。会社から「あなたは不要です」と仕分けられた従業員です。つまり、クビです。退職したいとの意向は半年以上前から上司に直接示していましたが、残ってほしければ現実的な引き止めなどもあるわけです。希望を受け入れてくれたというよりは、やはり、不要と判断されたと理解しています。

同じことは、早期希望退職を募る会社にも言えます。いくつかの仕掛けがあり、結局は「あなたは不要です」と仕分けられた従業員に辞めてもらうことには変わりないのです。それでも、本人に「次の人生に向け、あえて退職という道を選んだ」という錯覚をあたえ、だれも不幸にならないのでよく使われています。

経営側の見立ては、単に人件費が減らせればOKなので、別に退職させる従業員をランダムで選んで目標削減額に達したら終了でもいいわけです。優秀な従業員が辞めたらどうするんだ、というのは、いつ自己都合退職するかも分からないので、考えなくてよいのです。ただ、それではあまりに乱暴にみえるので、一般消費者をお客様にする会社ほど、民主的なプロセスをとっているようなアピールはするんですね。一方で、B to Bだけ、かつ外資みたいな会社だと外聞もへったくれもないので面倒なことせずにバッサリです。

会社都合退職の何よりよいポイントは、税金がほとんどかからない退職金を割増でもらえることです。割増は金額ではなく、一般的には標準の退職金の何倍といった計算で提示されます。標準退職金が1000万円のひとなら、自己都合退職だと750万円(相場は75%です)、会社都合だと2000万円(相場は2倍です)。同じ年数を勤め、同じ年収でも、自己都合か会社都合かでその差は1250万円にもなるんです。勤続年数が長く、年収も高いひとに自発的に退職してもらうには、実に効果的な提案です。

では、標準退職金が200万円だとどうなるか。退職金は自己都合で150万円、会社都合で400万円。その差は250万円です。先の1250万円にくらべるとわずかな金額です。

「会社を退職して起業」は、その年齢で違いがありそうです。20代、30代だと「自ら会社を不要とした」ひとが自己都合退職で150万円くらいの退職金か、あるいはそもそも退職金制度がなくてゼロで起業したことを意味するのに対し、40代では(転職していない場合)「会社から不要と判断された」ひとが、最低でも2000万円、多くは3000万円、4000万円の退職金を元手に起業したことを意味します。

私のように、40代なのに会社は4社目で、少ない勤続年数でクビになって起業する場合はどうなのか。いやもう、これはほんといばらの道です。分かっています。会社都合と自己都合との退職金の差額は、のんびり旅に出たり、オフィスをおしゃれにしたりすることには使いません。全額をお客様向けサービスへの投資に使います。期待していてください。