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土地付き不動産は売って利益出さなければ「負け」

「サラリーマンの副収入」で真っ先に思いつくのは不動産投資です。マンションの家賃収入というインカムゲインを得る「サラリーマン大家」は憧れですね。わが家も、そんな「サラリーマン大家」なのですが、そろそろ手を引こうと考えています。たいして儲かるわけでもなく、そのうえわずかな将来性も感じられなくなってきました。

週末に、住宅地の一角にある自宅近くのレストランで、母の誕生日をお祝いしました。父も呼びました。さいわい「健康と政治と宗教と野球の話」はしない両親ですので、会話はほどなく投資の話になります。特に不動産からみですね。私の実家はよくある地主系資産家ですから(言い切る)、妻の収益マンション、そして私のマンション買ったり売ったりにも少しは興味あるわけですよ。

ま、妻や私の話は「ふーん」で終わるわけですが、そのあとで聞いた実家のお金の使いかたや価格交渉の話は興味そそられました。ちなみに、実家は(副業で)40年近く不動産投資をやってて、いまも世田谷の人気駅近くでRCの集合住宅3棟(DINKS向け20室くらいか)、駐車場(15区画くらいか)、戸建て(おひとつ。旧借地法で…)、区分マンション(3部屋か)を続けてます。一時期は名古屋やさらに地方の収益物件ももってました。

で、これでやっと毎月のお金の不安はなくなり、安穏と暮らせるようになります。銀行窓口の女性が「やさしい、とってもいい子だったのよー」だったからレアル建て債券の投信をノルマ分買ってあげて損を出しても、すぐ忘れられるレベルです。ダイナースだって富士銀行からのお願いで立ち上げ時からのメンバーらしいですが、つつましい暮らしが基本。海外旅行も、父が勤めていた会社の企画で参加した1回きりという質素さをキープです。でないと、メンテナンスはもちろん「建て替え費用」が捻出できませんし。

こんだけやって、老後はつつましい暮らしを続けてくわけですが、サラリーマン大家のゴールってこんななの?と淋しくなりませんか。そのうえ、実家は土地持ちですので、一棟ものではかかる金利は建物部分だけ。東京スター(東京相和)だけど低金利での資金調達はもちろん、銀行の支店長とのつきあいで融資承認もちょろい。土地部分もふくめて一棟ものや区分に手を出しているそこいらのサラリーマンとは、収益構造も戦い方もまるっきり違うんです。

まあでも、このマイナス金利時代にはさしたる違いにはならんだろ?と思うでしょうが、さらに、実家は街の不動産屋さんとは「先代からのおつきあい」ゆえ賃貸管理費が5%なんてはずはなく「タダ」。それだけでもNOIはぐっと改善されますな。あ、うっかりNOIとか使ってますが、親は「NOI?なにそれ?」ですよ。そんな言葉知らなくても、もちろん「先代からのおつきあい」で優先的に客付けをしてもらえるので、入居率もほぼ100%をキープできていると。サブリースって言葉はさすがに知ってても、検討の必要すらない。

これが「昔ながら」のサラリーマン大家の実態で、私たちは「このような層」と同じ土俵で、同じ賃貸事業で競争をして、余計なコストをたくさん払って、さらに「このような層」の年金を全力で支えながら、自分自身で「豊かな老後」をつかみ取らなければならんのです。

で、酒飲めない妻が、ボルドーヒューガルデンでいい感じになってる両親に相談するわけです。「目黒界隈(まあ、不動前とか)の減価償却を損金にしにくい築古区分が、おかげさまでうまくいってるんですけど、この金利というか、この相場では売った方がいいんじゃないかと思っていまして…」。

「不動産というのはねえ、その収益をもとに次々と買い増しできるからいいのよ。だから、売っちゃだめなのよ」。

いや、その収益ってのが、そこいらのサラリーマンが手を出してるような収益物件だとちびっとで、いくら足したって「買い増し」するレベルには届かないんだってば。土地持ちじゃないんだから表利5%とかで釣られてもNCFは3万円、CCRは1%切るんだよ。とか言ってもわっかんねーよな。自分でもわかってないけど。とにかく、りそなとかオリックスの銀行の信用も物件じゃなくて労働資本としての人間についてんの。お金出てこないの。逆に、買い増ししまくって本書いてる連中とかは、自分でも気づかずに相当危ない橋わたってるか、1万人にひとりの「むしろサラリーマン業が副業」って奇人だけなんだよっ!

さて、母の古きよき時代の牧歌的考えはともかく(買いたたき方はとても参考になったけど書けない)、私が計算すると、土地付き不動産は売って利益出さなければ「負け」です。

サラリーマンはものすごーく不利な土俵で、「スルガじゃない銀行が金貸してくれる」という武器というかたったひとつの特権にすがって魑魅魍魎や国税と戦うわけですが、不動産投資でのインカムゲイン狙いは続ければ続けるほど負ける確率が高まるだけです。つまり、長期は不利なんだ。短期転売目的で買って売って、たくさん税金おさめまくるしかないんだよ。サラリーマン時代にそれをできるだけ繰り返すしかないんだよっ!

強引にまとめると「不動産投資でインカムゲイン狙って勝てるかは、地主かどうかがすべて」ではないかと。いまは9割ではなく、すべて。地主らに、情報、資金調達、収益性のどの面でも太刀打ちできない。短期転売とか買いてみたけど、取得税と手数料と税率考えると、これからの時代はキャピタルゲインすらあやしくて頭おかしいひと扱いされるだけ。

サラリーマンによい物件がまわってくるわけもない。「5000円の有料セミナーに参加したら、業者と参加者との絆ができて優良物件が紹介される」なんてこと、ないから。業者は、物件の収益性じゃなくて労働する人間ってだけで銀行がじゃぶじゃぶ金貸すサラリーマンを、クズ物件を放り込むゴミ箱くらいにしか思ってないからっ!

そこからはずれようとすると、プノンペンコンドミニアム買うしかないのかな。不動産取引の仲介手数料の規定がないからどこでどんだけ抜かれているかわからない無法地帯で(ツアーの主催者含めてね)、いまは視察とかいって旅行代を経費にできてウハウハだけど、ほんとにお金が必要になる老後に何度もプノンペン行けるのかいなとふと不安になりながら、高いリターンと高いリスクを求めるしかないのかな。でもこれ、「お金から自由に」なってますかねぇ。